通信教育の制度
学校通信教育と社会通信教育
現在わが国の通信教育には、大きく分けて学校教育法に基づく学校通信教育(六学・短大・高校・中学)と社会教育法で規定されている社会通信教育があり、年間上手な通信教育利用法 数百万人が学んでいるといわれています。
学校通信教育と社会通信教育、これらの 相違点をあえてあげるとすれば、次の2点ではないでしょうか。
第一に、学校通信教育は卒業すれば学校教育制度上の資格を取得できますが、社会通信教育には理容師や美容師などの一部を除いて資格上の特典はありません。
あくまで実力養成を主眼としたものということです。
第二は、学校通信教育はスクーリングと呼ばれる面接指導が義務づけられていますが、社会通信教育ではそれがありません。
学校通信教育については後述しますが、ここではまず社会通信教育を説明します。
現代社会は、あらゆるものが急速に変化しつつあります。
この環境に適切に対処していくことは、これからの社会生活に不可欠なことです。
学校を卒業したら知識の習得をしなくてもいい、というわけにはいきません。
あらゆるところで、一生を通じて学ばなければならない時代になったのです。
そこで生涯学習のための場は専修学校、各修学校、カルチャーセンターなど多数ありますが、なかでも学校通信教育のように制限を受けない社会通信教育は、もっとも今日の時代に応えた教育制度なのです。すなわち、
(1)入学時期が決まっていないので、希望する時期にいつでも入学できます。
(2)どこでも郵便が届くところなら、どこにいても受講できます。
(3)学歴、年齢に関係なく誰でも受講できます
(4)自分の能力に応じて、自分の計画のもとで学習できます。
(5)添削指導、質疑応答などにより、学習能力や進度に応じて指導が受けられます。 最近はFAXやパソコン通信による指導も行われてあり、回答の即時性も向上しています。
このほか、ほとんどの講座は短期間に知識や技能を習得できるシステムになっていますので、教養を高めることはもちろん、資格取得および準備、あるいは就職の特技として活用できます。
以上のような特色を持つ社会通信教育には、
「文部科学省認定社会通信教育」
「各省庁・公企業関係の通信教育」
「民間社会通信教育」に分けられ、
学校や公益法人ばかりではなく個人でも営利団体でも実施することができるのです。
文部科学省認定社会通信教育
多種多様な社会通信教育のなかには、内容や指導に問題があったり、営利本位に流れたりするものもあります。
文部科学省認定社会通信教育はこうした問題をなくし、一定の水準を確保するため、学校もしくは公益法人(民法第34某の規定による法人=祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他公益に関する社団または財団法人で営利を目的としないもの)が行うもので、社会教育上奨励すべきものについては文部科学大臣が認定し、奨励しているものです。
認定にあたっての基準は「社会通信教育基準」(文部科学省告示)で示されてあり、国民の職業もしくは社会生活上に必要な知識および技能の習得を効果的に達成するため、
明確な教育計画を有するものでなければならないとしています。その異体的な内容を簡単にまとめると次のようになります。
(1)実施者は社会通信教育の事業を安定的に遂行し、かつ教育に熱意を有する者でなければならない。
(2)教材の改善の企画や、学習に関する事務をつかさどる教務責任者を1人置かなければならない。
(3)通信教育の内容、および受講者数に応じた学習指導者をそろえなければならない。
(4)教材は受講者の自学自習を容易にするよう工夫されたものであるとともに、その内容は正確かつ社会の進展に即応したものでなければならない。
(5)学習指導は教材による指導、添削指導、質疑応答によって行う。
また添削指導は原則として月1回以上行うこととし、質疑応答については原則として月1回以上の機会を受講者に与えなければならない。
(6)修業期間は、原則として3ヶ月以上であること。そして通信教育の全課程を受講した者に対しては試験を実施し、
その成績および平常の成績が所定の水準に達している場合には当該課程の修了を認め、修了証を授与しなければならない。
実施者の認定申請を受けた文部科学省が、その講座の教材内容、指導方法などをあらゆる角度から審査し、社会教育審議会に諮問して答申を受けたうえで決定されます。
文部科学省は認定後、認定した社会通信教育の実施者の指導、整理も行っています。
実施者が認定社会通信教育の社会的信用を傷つけたり、受講者に不利益をもたらさないようにするためです。
なお、認定社会通信教育の基本教材や受講料を変更するときは、文部科学大臣の許可を必要とし、実施者が法律、命令などに違反した場合は文部科学大臣は認定を取り消すことができます。
また、財団法人社会通信教育協会では、文部科学省認定の社会通信教育修了者を対象に、各地の生涯学習活動推進・指導にあたる人材養成を図る、生涯学習インストラクターの養成を行っています。
文部科学省認定社会通信教育の特典
社会通信教育の普及をはかるという意味から、次のような便宜と特典があります。
(1)教育委員会主催により全国各地で開かれる「受講者研究集会」に参加し、講演を 聞いたり面接指導を受けることができます。
(2)文部科学省主催のフェスティバル「全国社会通信教育大会」が開催され、講演会や面接指導、体験発表などを通じて受講者同士の交流をはかることができます。
(3)文部科学省認定社会通信教育課程を優秀な成績で修了した人には、毎年文部科学大臣賞が贈られます。
参学習用郵便物(教材、報告課題、質疑応答)は特別料金(第4種郵便)扱いになり、普通の垂酎更物よりも安く郵送できます。
認定社会通信教育の学習プロセス
文部科学省認定社会通信教育は厳重に審査されたものですから、学習の仕組みもパターン化されています。
次に入学から修了までのプロセスを文部科学省発行の「社会通信教育の手引き」により紹介します。
他の民間通信教育受講に際しても、このプロセスを参考にすれば良否の判断材料になるでしょう。
[入学]
まず、広告その他で自分が受講したい講座の入学案内書を取り寄せます。
受講を決心したら、案内書にある入学申込書に受講料を添えて、現金書留または振替などで実施団体へ直接申し込みます。
実施団体への入学手続きが完了すると受講者証、教材類が受講者に送られてきます。
ただし、コースによっては入学時期が4月と10月に限られていることもあるので、注意をしてください。
[教材]
教材の内容は課程により若干異なりますが、おおむねテキスト、ガイドブック(学習指導書)、ワークブック、機関誌から構成されています。
どの課程の教材もどうしたら学習の効果が向上するか十分研究・工夫されており、課程の内容によってはカセットテープ、ビデオテープ、学習カードなどの視聴覚の要素も適宜取り入れられています。
なお、これらの教材は、その分野の専門家による審査が行われたものであることはいうまでもありません。
[指導]
学習の進め方がガイドブック(学習指導書)で指示されます。
それにしたがって無理のない学習計画をたて、添削指導や質疑応答をはさんで学習を進め、報告課題(しポート)を提出します。
そして学習したことが正しく理解され身こついたかどうか、受講者から提出された報告課題をもとに指導講師が判断し、適切な指導を行います。
また質問に答えさせたり、さらに理解度を充実させるためにスクーリングや研究集会を開催し、学習勅栗の促進をはかります。
[スクーリング・共同学習会・研究集会]
通信教育はそれだけで十分に実力がつ<教育制度ですが、自学自習が建前だ別こともするとスランプに陥ったり、学習が進まないことがあります。
これを解消し、撃鞄栗を高めるために設けられているのがスクーリング、共同学習会、研究集会です。
スクーリングや研究集会は実施団体、都道府県教育委員会が主催して全国各地で、また共同学習会も同じように全国各地で開催されます。
この他に毎年、全国社会通信教育大会が開かれ、文部科学大臣表彰をはじめ各種の催し物を行い、受講者たちを激励しています。
学校通信教育とは違い、スクーリングなどへの参加は義務つけられたものではなく、不参加でも講座は修了することができます。
[修了]
学習がすべて終わり修了試験に合格し、かつ平常の成績も含めて所定の水準以上であるときは、その課程の修了が認められ修了証が交付されます。
また各課程の修了者で成績優秀者は、文部科学大臣から表彰され、毎年春に表彰式が行われます。
[技能審査]
学校通信教育には、所定の単位を習得すると卒業資格が与えられますが、社会通信教育では習得した技術・知識を公的に証明するものがありませんでした。
昭和42年に「技能審査の認定に関する規定」を定めて、技能審査の認定制度を設けました。これが、「文部科学省認定技能審査」です。
これは各人が自由に学習した技術や知識を試験によって審査するので、特に定められた講座を受講する必要はなく、誰でも受験ができます。
また、2001年になってこの文部科学省認定の技能検定制度を全廃する方針が打ち出されました。
理由として、
「国の責任で技能審査を行っている誤解を与える」、
「推薦された特定のものと、それ以外のものに必要以上の差別化が生じている」
などが上げられました。
しかし、あくまでも認定制度が廃止されるのであって、検定自体は引き続き行われています。
各省・公企業関係の通信教育
この通信教育は各省庁が職員教育のために実施しているものと、法律に基づき一定の資格を与えるものとがあります。
前者には税務大学通信教育(財務省)などがあり、部外者は受講できません。
後者には理容師・美容師通信教育、1級・2級技能士訓練講座がこれにあたります。
理容師・美容師は厚生労働大臣指定の理・美容学校を卒業して国家試験を受ける方法と、通信教育を実施している理・美容学校を通して社団法人日本理容美容教育センター(03−3370−3311)から通信教育を受け、
スクーリングをその理・美香学校で受けて資格を取得する方法があります。
また、地方自治体が行っている消費者啓蒙の通信教育があります。
「くらしの通信教育講座」「消費者生活通信教育講座」などといった名称で実施され、テキスト学習と数回のスクーリングにより進められます。
各自治体の住民向けで受講抽ま原則として無料、質問やレポート提出にかかる郵送料が受講者の負担となっているとこうが多いようです。
民間社会通信教育講座
民間社会通信教育とは文部科学省認定社会通信教育、各省庁・公共事業体の実施 する通信教育を除いたすべての社会通信教育をいいます。
その講座数はほう大で、正確な実数融巴握できないのが現状です。
社会の情勢や必要性から新講座は次々と 誕生しています。
なかには教材販売を主目的にした団体、むやみやたらに○○士を安売りする団体 もありますが、文部科学省の認定を受けていないから怪しげで劣っているとはいえません。
逆に規制を受けていないために、自由な立場で新しいニーズに対応でき、文部科学省認定講座よりもすくれた点を数多く持っています。
社会通信教育に対する公的援助制度
企業が行う教育訓練に対しては「生涯能力開発給付金」が、そして受講者へは「教育訓練給付制度」があります。
生涯能力開発給付金制度
これはあくまでも労働者の職業訓練を推進する事業主に対するものであり、直接 労働者へ支給するものではありません。
生涯能力開発給付金制度は、計画的に教育研修を実施した事業主に対しその費用の一部を国が助成するもので、
(1)能力開発給付金
(2)自己啓発助成給付金
の2種類があります。
教育訓練給付制度
労働者が主体的に能力開発に取り組むことを支援し、雇用の安定と就職の促進を図るために、労働者が自ら費用負担して一定の教育訓練を受けた場合に、
その教育訓練に要した費用の一部が支給されるものです。
これは、従来あった定年退職予定者のための「中高年齢労働者等受講奨励金制度」が廃止されるのに伴い、新しく平成10年12月から施行された制度です。
支給対象となる人臥申請時において雇用保険の被保険者期間が通算して5年以上ある人です。
そして、申請時に雇用保険被保険者であるか、被保険者でなくなって1年以内であることが案件です。
ただし、一度教育訓練給付を受けた人は、その訓練を受け始めた時点から後5年以上の被保険者期間が経過していないと、再度の給付は受けられないようになっています。
支給対象となる教育訓練(各種の通学・通信講座等)は、厚生労働省の指定を受けたものに限られています。厚生労働省の指定は、職業能力の開発・向上に関する教育訓練に限られますから、趣味や教養にかかわる教育訓練、例えば茶道や華道といったものは除外されます。
支給額は、その受講のために教育訓練施設に支払った額の40%(支給要件期間が3年以上5年末満の万は20%)に相当する領が支給されます。
ただし、40%(または20%)に相当する額が、20万円(支給要件期間が3年以上5年未満の万は10万円)を超える場合の支給額は20万円(支給要件期間が3年以上5年未満の方は10万円)とし、8000円を超えない場合は教育訓練給付金は支給されません。
また、支給要件期間5年を満たす人が平成15年4月30日以前に対象教育訓練の受講を開始した場合には、80%に相当する額が支給されます。
上根は30万円(平成13年1月1日より前に受講を開始した場合には、上限20万円)となります。
給付の申請は、講座修了後1ヶ月以内に手続きをすることが条件になってあり、申請手続きには次の書類が必要になります。
(1)教育訓練給付金支給申請書
受講修了後に主催団体や学校などが用紙を配布。
(2)教育訓練修了証
主催団体や学校などが認定基準に基づいて発行。
(3)本人・住所確認書類
運転免許証、国民健康保険被健康保険者証、雇用保険受給資格者証、住民票の写し、印鑑証明証のいずれか。コピー不可。
(4)雇用保険被保険者証
雇用保険受給資格者証でも可(コピー可)。
これらの書類を、自分の住所を管轄するハローワークに提出すれば、指定口座に所定の金額が振り込まれます。
手続き等詳細については、厚生労働省職業安定局雇用保険課(03−5253−1111)または各都道府県の中央職業能力開発協会に問い合わせてください。
学校通信教育
学校教育法による学校通信教育には、大学通信教育、大学院通信教育、短期大学通信教育、高校通信教育があります。
学校通信教育の大きな特色は、通信教育でも、卒業すれば通学生と同じ卒業資格が取得できる点です。
また、社会通信教育ではスクーリングは義務づけられていませんが、学校通信部盲では所定の単位数をスクーリングで取得しなければなりません。
このほか、文部科学省認定社会通信教育であげた特典のほかに、
所得税の控除(年間総所得額が、定額以下の場合は、勤労学生としての所得控除が受けられます)、
鉄道運賃の割引(科目試験の受験とスクーリングに出席する場合、学割が発行されます)、
通学定期券(スクーリングに出席する期間中だけ発行されます)、日本育英会奨学金制度の利用などの特典があります。
高等学校通信教育は、独立校、定通並置校などがあります。
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